よくあるご質問・ご相談

相続は、一つとして同じものはありません。遺産の総額、納付税額、また手続きが総て完了する期間など、それぞれのお考え、趣向や生活環境、家族構成等によって、同じ遺産の状況でも課税価格の合計額や算出される納付税額が異なるという、まさに十者十様の手続きです。 「困ったな」、「分からないな」ということがありましたら、相続相談サポートセンターおかざきにご相談ください。
また、相続や贈与に関して特に多く寄せられるご質問とその回答を以下に列挙いたしましたので、ご参考になさってください(各カテゴリーにて詳細にしているものは除いています。掲載の無い内容につきましては、個別のカテゴリーをご覧ください)。

 

Q1.

 相続税の計算の仕組みが大きく変わった、と聞きましたが、詳しく聞かせてください。

A1.

はい、改正相続税法は、平成27年1月1日以降開始の相続および実施の贈与から適用されていて、平成26年12月31日以前に発生した相続、贈与とは、大きく税額の計算方法が変わっています。

 

では、相続税を取り巻く仕組みがどのように変わったのか、主なものを以下に列挙してみましたのでご参考になさってください。上述のとおり、いずれも平成27年1月1日以降開始の相続、贈与から適用されています。

 

① 遺産に係る基礎控除額の減額

改正前 : 5,000万円 + 1,000万円 × 法定相続人の数

現行   : 3,000万円 +  600万円 × 法定相続人の数  (= 改正前の60%)

 

平成29年12月15日付、国税庁より公表されたデータによれば、この税制改正により、2015年に発生した相続につき、大都市圏で、想定をかなり上回る新規課税対象者の増加率でした。

もはや相続税は、所得税と同様、他人事ではない税目となってきています。

 

※ 上場会社等の、いわゆる部長職以上の方、

  同族会社の取締役の方、

  については、将来のご自身の相続につき必ずご一考ください。

 

② 税率構造の見直し

相続税、贈与税ともに最高税率が従来の50%から55%に引き上げられ、税率階段も現行の6段階から8段階へと、細かく刻まれることになりました。

また、暦年課税の贈与税については、贈与者と受贈者の関係や年齢により、異なる税率が適用されることとなりました。

 

③ 相続時精算課税の適用要件の緩和

受贈者に、その贈与の年の1月1日において20歳以上である孫、が追加されました。

贈与者の年齢要件が、その贈与の年の1月1日において60歳以上であることと、となりました。

※ 改正前は、受贈者は推定相続人のみ、また、贈与者の年齢は65歳以上とされていました。

 

④ 未成年者控除および障害者控除額の引き上げ

【未成年者控除】

改正前 : 6万円 × その者が20歳になるまでの年数

現行   : 10万円 × その者が20歳になるまでの年数

※ 令和4年4月1日より、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられることに伴い、未成年者控除の適用対象となる相続人の年齢も「その者が18歳になるまでの年数」となります(令和4年4月1日以降開始の相続より適用)。

 

【障害者控除】

改正前 : 6万円(その者が特別障がい者である場合は12万円) × その者が85歳になるまでの年数

現行   : 10万円(その者が特別障がい者である場合は20万円) × その者が85歳になるまでの年数

 

主なものを列挙しましたが、これら以外にも改正された項目があり、複雑多岐に渡ります。とくに、①の改正により、あらたに申告・納税義務が生じる方にとっては、これまで身近ではなかった「相続」や「相続税の納税」が突然避けて通れないことになり、とてもご不安かと思います。

 

相続税法改正について詳細等気がかりな方、ご不安な方は、一度、相続相談サポートセンターおかざきに相談ください。

 

なお、法定相続人とは、相続の放棄があった場合には、その放棄が無かったものとした場合における相続人をいいます。

また、養子については、法定相続人への算入制限があり、被相続人に実子がある場合には1名まで、被相続人に実子がない場合には2名まで、となります。

特別養子縁組により養子となった方については、実子とみなされます。

 

平成29年1月末、最高裁により、「養子縁組が相続税対策のみを目的としているとは、一概には言えない」と判旨され、引き続き遺産に係る基礎控除額増による相続税節税について、養子縁組は非常に有効といえます。

 

 

Q2.

 相続税の申告が必要かどうか、判断がつきません。

A2.

相続税の申告および納税は、遺産の総額から「その遺産に係る基礎控除額」を差し引いても残額があり、納税額が発生する場合に必要です。

遺産に係る基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数                                    (税制改正による変更はQ1.をご覧ください)

となっており、遺産の総額がこれを下回っていれば、申告および納税の必要はありません。

ただし、相続税の計算は非常に複雑、難解です。

また、納税者にとって有利な制度の適用には、たとえ相続税額が発生しなくても、申告書の提出を条件としているものもあります

ご自身で申告の必要性の有無を判断するのは危険です。

 

一度、当サイトの「相続税 納税診断」で診断していただき、「申告が必要」と診断された方は、さらに「概算税額算定サービス」をご利用いただければ、ひとまずのご安心を得ていただけるかと思います。

 

 

Q3.

 贈与税は、贈与した財産が110万円までであれば、申告や納税は必要ない、と聞きましたが、間違いないですか?

A3.

はい、間違いありません。

贈与税の計算は、暦年単位(1月1日~12月31日)ですることとなっており、その年に受贈者が贈与を受けた財産の価額の合計が基礎控除の110万円以下であれば、贈与税の申告および納税は必要ありません。

ただし、相続税の対策として、以前より生前贈与をされている方は、「贈与の事実およびその内容」を公的に残すために、納付税額が発生しなくても、あえて申告書を作成、提出される方もいらっしゃいます。

また、相続時精算課税を新規に適用する場合や、相続時精算課税の特別控除(2,500万円)を超えて贈与した場合には、その贈与財産の価額が110万円以下であっても、贈与税の申告書を作成、期限内に提出しなければなりません(詳しくは「生前に贈与する」のカテゴリーをご覧ください)。

特殊な贈与をされた場合、またはこれから贈与をお考えの場合は、相続相談サポートセンターおかざきにご相談ください。

 

 

Q4.

 相続税がかかる遺産には、どのようなものがありますか? どこまでの範囲で申告すればよいのですか?

A4.

相続税が課税される代表的な遺産(相続財産)には、以下のものがあります。また、一定の範囲まで申告すればよいのではなく、亡くなられた方(被相続人)が、亡くなられた時点で所有・保有していたものすべてを、今回被相続人から財産を取得する方は、余すところなく申告しなければなりません(一定の者の、一定のものを除く)。

 

① 現金や預貯金、上場株式、上場投資信託等の金融資産                                             ② 土地や建物等の不動産や借地権など (居住用だけでなく、別荘地や別荘、遊休地や農地、山林等も含みます)

③ 被相続人の死亡によりもらうこととなった生命保険金や共済金                                          ④ 被相続人の死亡により、勤務先から支給される退職手当金等                                           ⑤ 個人事業を営んでいた場合は、その事業に係る売掛金や棚卸資産、事業用減価償却資産、貸付金、立替金、未収入金等

⑥ 非上場会社に出資していた場合は、その持ち株(取引相場のない株式)や出資                               ⑦ 被相続人名義の生活用動産(マイカーやバイクなど)                                               ⑧ 書画や骨とう品、小判や記念切手、記念硬貨など、専門的価値の高いもの                                  ⑨ ゴルフ会員権(単にプレーするだけのものを除く)、リゾート会員権                                                  ⑩ 他人名義の通帳で、実質は被相続人が管理、利用していたもの(いわゆる「名義預金」)                                         ⑪ 生前に被相続人から贈与を受けた財産で、被相続人の死亡の日前3年以内に受けたもの

 

上記は代表的なもので、これ以外にも、相続税の課税財産はあります。⑩などのように、表面的な「名義人」では判断しないものもあります。⑪は実務上、申告もれの多い財産です(相続開始のおおむね前1年以内の、被相続人名義の預金からの多額の現金引き出しなど)。

また、実際の価値と、相続税を計算する上での価値(相続税評価額)が相当乖離する場合もあります。

 

「これって、税金がかかるのかな?」と判断がつかない方など、相続相談サポートセンターおかざきまでお問い合わせください。

 

○ 平成25年度税制改正による納税義務の変更

以前は、①日本国内に住所を有せず、かつ、②日本国籍を有しない方 日本国外の財産を相続等または受贈した場合においては、その国外財産については相続税または贈与税が課されませんでした。

しかし平成25年度税制改正において、上記①および②に該当する方であっても、日本国内に住所を有する者から在外財産を相続等および受贈した場合には、その財産について課税されることとなり、現在適用されています。

当時話題となった税務訴訟での、贈与税返還判決を踏まえての法整備となります。

 

 

Q5.

 相続税は、いつまでに申告や納税をすればよいのですか?

A5.

申告期限、納税期限ともに、自己のためにその相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。

具体的には、例えば被相続人が5月15日に亡くなられ、相続人がそれを同日知った場合、期限は翌年3月15日となります。また、末日に亡くなられた場合は、10か月後の末日が期限となります(4月30日死亡の場合は、翌年2月28日が期限)。

仮に、申告期限までに遺産の分割についてまとまらなかった場合でも、法律に定める相続分(法定相続分)により分割されたものとみなして、やはり上記の期限までに申告と納税を済ませなければなりません。その後、遺産の分割が整った場合には、あらためてその相続分により計算をして、申告書を提出、税金の精算をします。

また、納税については、原則、現金で一括して納付することが求められています。ただし、高額のため現金一括納付ができないと税務署長が認める場合には、その納付が困難と認められる金額の範囲内で、延納(期限を決めて、分割納付する)や物納(現金の代わりに相続財産で納める)が認められています。

 

なお、申告期限が到来する前に、居住を海外に移す等、特殊事情がある場合には、特段の手続きが必要となります。

 

 

Q6.

 では、贈与税はいつまでに申告や納税をすればよいのですか?

A6.

贈与税については、その贈与があった日の属する年の翌年2月1日から3月15日までに、申告と納税を済ませなければなりません。相続税と異なり、財産を受けた方(受贈者)の住所地を所轄する税務署へ申告書を提出します。

また、贈与税も原則として、現金で一括納付することが求められています。相続税と同様、延納が認められることがありますが、物納は贈与税については一切認められていません。さらには所得税や個人消費税のように、振替納税制度もありません。

 

 

Q7.

 よく「相続が争族になる」と聞きます。我が家は心配ないと思ってますが、どのようなときに「争族」になりやすいですか?

A7.

相続は十人十色、1つとして同じではありません。財産の状況や家族構成、それぞれのご家庭の事情や、ご存命中に歩んでこられた道のり、心情や性格など、相続を構成する要因は人それぞれです。

したがって、「我が家は心配ない」と言っても、実際に相続が発生すると、骨肉の争いに…、ということもあります。大げさに言えば、すべての相続が「争族」となる可能性があります。

では、どのような場合に相続が「争族」となってしまうのか。一律に答えはありませんが、以下に列挙した項目に1つでも当てはまるものがあれば、事前に何かしらの対策をしたほうがよいでしょう。

 

◇ 遺産に係る基礎控除額を大きく超える遺産があるが、遺言書が作成されていない                                                ◇ 遺産に占める不動産の割合が大きい                                                                              ◇ 被相続人名義の借金がある(金額の多寡は問わず)                                                           ◇ 被相続人に内縁の妻がおり、その連れ子がいる                                                               ◇ 被相続人が再婚をしており、その連れ子がいる                                                                    ◇ 被相続人が特定の者だけに、生前贈与をしている                                                        ◇ 特定の者だけが被相続人の生前介護をしていた                                                      ◇ 相続人が被相続人の兄弟姉妹である                                                         ◇ 被相続人に愛人がおり、その子どもがいる

 

上記に列挙した項目以外にも、ちょっとした要因により相続が「争族」となる可能性があります。

「争族」回避の有効手段としては、主なものに遺言書の作成や相続放棄が挙げられます。

ご自身やご両親等の相続についてご心配な方は、相続相談サポートセンターおかざきにご相談ください。

 

 

Q8.

 財産の分け方で納める相続税が変わる、と聞きましたが、本当ですか?

A8.

本当です。

例えば、遺産の総額が1億2千万円、相続人が妻と子2人の相続が発生したとします。遺言書はありません。

この場合、以下のそれぞれの事例により、それぞれの納付額となります(いずれも、配偶者に対する相続税額の軽減を適用)。

① 法定相続分により遺産を分割した場合

妻:¥0   子A:¥ 2,400,000   子B:¥2,400,000

② 妻が全財産を取得した場合

妻:¥0   子A:¥0    子B:¥0

③ 子2人が均等に財産を取得した場合

妻:¥0   子A:¥4,800,000    子B:¥4,800,000

④ 子のどちらか1人が全財産を取得した場合

妻:¥0   子A(または子B):¥9,600,000    子B(または子A):¥0

 

ご覧のように、それぞれの遺産の分割方法で、納税額が異なります。②の事例に至っては、納税額が ¥0 となります。

ただし、相続税には「連帯納付の義務」がありますので、計算上の増税額が ¥0 であっても、他の相続人と協力して納税が速やかに完結するようにしなければなりません。

未納のまま納付期限が過ぎ、その納税義務者に納税資力が無い、と判断されれば、他の相続人が代わりに納付しなければならないこともあります。

 

さらに、応用的な事例として「小規模宅地等の特例」の適用の可否で、納税額が大きく変わることがあります。

小規模宅地等の特例の適用については、専門的な判断が求めれられますので、事前に相続相談サポートセンターおかざきにご相談ください。

また、二次相続を含めて考えた場合、一概に配偶者にできるだけ多く財産を相続させればよい、というものでもありません。このような場合も、事前に相続相談サポートセンターおかざきにご相談ください。

 

 

Q9.

 孫に財産の一部をあげたいのですが、どうしたらいいですか?

A9.

お孫さんは、原則として相続人ではなく、通常の遺産分割では、お孫さんが財産を相続することはできません。もし、ご自身の財産の一部をお孫さんにも分けてあげたい場合は、遺言書を書く必要があります。

なお、お孫さんが相続により財産を取得した場合には、他の相続人と異なり、仮に、そのお孫さんに計算の結果、相続税の納税額が発生した場合には、納税額に20%を加算して納付しなければなりません(相続税額の加算)。

これは、通常の相続と異なり、その財産が、子を飛び越えて孫へ移転されるということに対する、一種のペナルティです。

ただし、そのお孫さんの親でご自身の子、がすでに亡くなられている場合には、そのお孫さんは始めから相続人(代襲相続人)となりますので、遺言書を書く必要はありません。この場合、20%加算のペナルティもありません(代襲相続人が相続放棄者である場合を除く)。

また、実際に遺言書を書く場合にも、その書き方についていろいろなルールがあり、それが守られていないと、意に反してお孫さんへ財産を分けることができなくなってしまうこともあります。

遺言書作成に関するルール等につきましては、「遺言書の書き方・遺し方」のカテゴリーをご参照ください。

 

 

Q10.

 相続人の一人が財産の分割に納得せず、期限内にはとてもまとまりそうにありません。どうしたらよいですか?

A10.

相続開始から結了までの一連の流れにおいて、遺産分割協議は最大のヤマ場といっても過言ではありません。ですので、スムーズに分割協議が整い、全員が納得の上、そのまま全員が遺産分割協議書に実印を押す、ということは少ないかもしれません。

どうしても遺産の分割に納得ができず、他の相続人も頑として応じない、という場合には、最終的に調停を申請して、裁判所の判断を仰ぐことになります。とても長い期間がかかることもありますし、費用もかかります。精神的にも相当の負担を強いられます。

10年近くも争って、結局は法定相続分で分けることになった、という事例もあります。

遺産分割は時間がかかってでも、相続人全員が100%ではないにせよ納得するような結論を出し、期限内に整えることがやはり望ましいといえます。

相続税の申告および納税については、期限内に遺産の分割が整わなかった場合であっても、ひとまず法定相続分により分割されたものとして相続税額を算出、期限内に申告および納税を済ませなければなりません。それを怠ると、無申告加算税や不納付加算税などの高額の付帯税が課されることがあります。

「遺産の分割が整い次第、すぐに申告・納税するからいい」という理屈は、残念ながら通りません。

 

また、遺産の分割が未済の場合には、配偶者に対する税額軽減や小規模宅地等の特例などの、相続税を大幅に減額する制度の適用が認められません(一定期間内に分割が整い、申告書を提出する場合には、その申告書において適用が認められます)ので注意が必要です。

 

 なお、相続相談サポートセンターおかざきでは、実際の相続人間や利害関係者間の紛争、係争を解決することはできません。この場合、提携の弁護士をご紹介させていただくか、ご自身で弁護士、司法書士にご依頼していただくこととなります。
 また、提携弁護士の相談回答や依頼の受理・拒否等につきましては、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

 

 

Q11.

 父が亡くなりましたが、借金が多く、もめそうなので放棄をしたいと考えています。どのようにしたらよいですか?

A11.

相続の放棄をすれば、その方は、その相続について初めから相続人でなかったこととなり、借金やその他の負債について、相続により引き継がなければならないということはなくなります。当然に資産も相続できません。

ただし、生命保険金のように、保険金受取人が指定されている場合には、その保険金については、放棄をしていてもその方が受取人として指定されていれば、その保険金を受け取ることができます。

相続を放棄すると、放棄をしていない他の相続人に比べ、生命保険金等の非課税や債務控除といった規定の適用ができなくなったり、代襲相続人である孫が放棄をした場合には2割加算の対象となるなど、不都合が生じることもあります。

相続の放棄をお考えの場合は、焦らず、慎重に判断したほうがよいでしょう。

 

相続放棄の具体的な手続きとしては、

① 相続の開始があったことを知った日から3カ月以内に                                                ② 相続放棄申述書を記載し、戸籍謄本等一定の書類を添付して、                                       ③ 被相続人の死亡時の住所を所轄する家庭裁判所に提出します。

なお、提出については郵送でもかまいません。

相続放棄申述書はお近くの家庭裁判所に具備されていますし、裁判所のHPからダウンロードすることも可能です。

家庭裁判所に必要書類が届き審査されると、「確認書」が放棄を申述した方に送られてきますので、必要事項を記載の上、返信すれば相続の放棄が成立します。

なお、日付は申述書の提出が放棄の期限内にされていればよく、確認書の到来や返信が期限を過ぎていても問題ありません。

また相続の放棄は、「限定承認」と異なり、相続人のそれぞれが単独で行うことができます。だたし、相続発生前には、相続放棄の申述はすることができません。

 

 

Q12.

 父が不動産を多く所有しています。市から届いた固定資産税の課税明細によれば、そんなに高い評価額ではないようです。安心してよいですね?

A12.

いいえ、残念ながら、固定資産税の課税明細では、正確な不動産の評価額は把握できません。

毎年度初めに市役所等から送付される固定資産税の課税明細は、あくまでも固定資産税や都市計画税の算出根拠となるもので、相続税を計算する上での計算根拠としては、家屋の評価および倍率地域に存する土地にのみ利用できます。

原則として、土地や借地権の評価は、その土地等が面している道路に定められている、1平方メートル当たりの価格(これを「路線価」といい、毎年7月1日に公表されます)により算出します。

さらに、その土地の利用状況や形状、利便性等を考慮して、正確なその土地の相続税計算における価値が算出されます。

固定資産税の課税明細での評価額(固定資産税評価額)と相続税の計算上の評価額(相続税評価額)とでは、大きく乖離している場合もあります。

固定資産税の課税明細により遺産の総額を把握して、それが遺産に係る基礎控除以下であったとしても、決して安心してはいけません。 相続税評価額による遺産の総額の把握が必要です。

また、不動産鑑定士等による鑑定評価も、相続税評価額として用いることは原則としてできません。

 

 

 

Q13.

 葬式にかかった費用が「相続税の経費になる」と聞きました。どういうことですか?

A13.

相続税は、その税額を計算する過程で「債務控除(さいむこうじょ)」といって、亡くなった方(被相続人)がその相続の開始時点で負っていた債務、たとえば借金や納税の義務などについては、その被相続人の遺産の総額から差し引いて、その残額(正味財産)に対して税率を乗ずる、という仕組みになっています。

葬式費用は、被相続人が生前に負っていた債務ではありませんが、その費用負担の発生の原因が被相続人の死亡、であることから、これを負の財産と認識して、その控除が認められています。

控除の対象となる費用は、実際の葬式費用や寺へのお布施、戒名料、葬儀にかかった食事代、遺体の搬送費用などです。

初七日や四十九日の法要費用、香典返しの費用、仏壇・仏具やお墓の購入費用、遺体の解剖費用などは、葬式費用には含まれません。

また、原則として、相続を放棄した方や相続権を喪失した方については、相続税の計算上、債務控除が認められませんが、その方が実際に負担した葬式費用については、相続の放棄等に関係なく、控除できることになっています。

なお、香典収入については、社会通念上適正な額の範囲内において、贈与税申告等の必要はないものとされています。

 

 

Q14.

 父が亡くなりました。その財産の中に、さらに前に亡くなった祖母の名義のままとなっている土地があります。どうしたらよいですか?

A14.

相続により取得した不動産の登記については義務ではないため、また、登記する場合には費用がかかるため、不動産の名義が、だいぶ前に亡くなられた方の名義のままになっていて、今回新たに相続が発生した、というケースは少なからずあります。

この場合、速やかに、まずは祖母からその祖母の相続人の内のどなたかに名義を変える手続きをしてください。この場合でも、名義の移転原因は相続と認定されます。不動産取得税の課税や、とくに所得税で求められる所有期間についても、祖母の相続の開始時点にさかのぼります。

不動産の登記や名義変更手続き等でお困りの場合には、弊社提携の久屋大通事務所(司法書士・行政書士事務所)をご紹介いたしますのでご安心ください。

 

 

Q15.

 家族関係が複雑で、主人の相続について、誰が相続人となるのかわかりません。どうしたらよいですか?

A15.

相続が開始された場合、亡くなられた方の遺産の価値がどれくらいあるのかを正確に把握することとともに、誰が相続人であるのかをしっかりと把握することが非常に重要です。

相続人を把握することにより、法律上の相続分も把握することができ、遺産分割協議への基礎となります。

ですが、家族構成は、当然みなさんそれぞれです。ご夫婦とお子さんの核家族、3世代同居、お子さんがいらっしゃらないご家庭、再婚をされているケース、法的には結婚していないが同棲が続いている(内縁の妻)、あるいは法的に離婚はしていないが別居している、など。

相続人の把握は、亡くなった方(被相続人)を中心に、実際の系図を紙などに描いてみると、比較的把握しやすいかと思います。

ですが、ご相談のように、系図が複雑で、相続人を容易に把握できない、という場合には一度、相続相談サポートセンターおかざきまでご相談ください。

もちろん、複雑な系図でなくても、ご相談ください。

 

相続は、相続人が誰であるかを把握することから始まります。正確な相続人およびその数を極力早く確認しましょう。

 

平成29年5月29日より、「法定相続情報証明制度」が運用されています

この制度により、これまで非常に煩雑、複雑だった相続人の確定や、各種公的証明書の取得、相続登記などがとても容易になりました。

ぜひご活用ください。

 

 

Q16.

 主人が亡くなり、勤めていた会社から多額の退職金をいただきました。この退職金についても、申告をしなければなりませんか?

A16.

はい、被相続人の死亡により支払われた退職手当金等は、相続税の申告書に記載して申告しなければなりません。

生命保険金等と同様に、退職手当金等も、民法では相続財産とされていませんが、その支払い原因が「被相続人の死亡」であることから、相続税法上、相続等により取得したものとみなされ、所得税ではなく相続税の対象となります。

退職手当金等にも、生命保険金等とは別枠で非課税限度額が設けられており、それを超える部分につき、課税財産としてその他の相続財産と合算されます。

 

 退職手当金等の非課税限度額  =  500万円 × 法定相続人の数

 

この非課税限度額を控除できるのは、相続人(相続を放棄した者などを除く)に限られます。

また、一度に複数の会社から死亡退職金の支給を受けた場合には、その支給額を合計してから、非課税限度額を差し引きます。

 

さて、ひとえに「退職金」といっても、その実質や支給額の確定時期によって、適用されるルールが異なります。 以下に列挙しましたのでご確認ください。

 

① 支給額が、被相続人の死亡後3年以内に確定したもの

その受給金額は、退職手当金等として、相続財産とみなされます。

② 支給することは被相続人の死亡前に確定していたが、その金額が死亡後3年以内に確定したもの

その受給金額は、退職手当金等として、相続財産とみなされます。

③ 被相続人の死亡前に、支給も支給額も決まっていたが、実際にはまだもらっていないもの

その受給すべき金額は、未収入金等として、相続財産となります。

④ 支給の実質が、退職金ではなく、弔慰金の場合

ア.業務上の死亡により支給される弔慰金

死亡当時の通常給与の36カ月分を控除した残額が、退職手当金等として、相続財産とみなされます。

イ.業務以外の死亡により支給される弔慰金

死亡当時の通常給与の6カ月分を控除した残額が、退職手当金等として、相続財産とみなされます。

⑤ 名目は弔慰金だが、実質は退職金としてもらった場合

その受給金額は、退職手当金等として、相続財産とみなされます。

⑥ 法令等に基づき受給した弔慰金

④および⑤にかかわらず、原則として課税の対象外となります。

法令等に基づく弔慰金としては

 

労働者災害補償保険法に基づく遺族補償給付や葬祭料

健康保険法に基づく埋葬料

労働基準法に基づく遺族補償や葬祭料

 

などがあります。

 

また、相続税の申告期限までに、これら退職手当金等を誰が取得するか決まっていない場合には、相続人が均等に取得したものとみなして、ひとまず申告をしなければなりません。

ご不明な点等ございましたら、相続相談サポートセンターおかざきまでご連絡ください。

 

 

Q17.

 現在79歳になる父と以前からずっと同居しています。ある時父から「自分の相続対策のため、この土地・建物を生前にお前に贈与しておきたい」と言われました。何か気を付けておきたいこと等があれば知りたいのですが。

A17.

被相続人予定者(財産の所有者・名義人)が存命のうちに、相続人予定者に対して生前贈与等の相続対策をすることは、双方にとってたいへん有用なことです。

単純に税金面でもそうですが、何より、お父様のご意思を直接、自身の財産に反映できること、受贈者(財産を贈与される人)の受贈の意思を明確にできることなど、精神的な側面からも有用だと言えます。

生前贈与の具体的な方法やルールについては「生前に贈与する」のカテゴリーをご参照いただきたいと思います。

 

さて、生前贈与の際に犯しやすいミスとして、大きなものに

① 居住用土地等を贈与してしまう

② 建物を贈与してしまう

が挙げられます。

 

①について、少し専門的なお話になりますが、相続税を計算する際に、居住や事業の用に供されている土地等(土地や借地権)に対しては、小規模宅地等の特例といって、土地等の評価額について、最大で80%も減額してくれる、という制度があります。

この小規模宅地等の特例、適用される土地等は「相続または遺贈により取得した土地等」に限られます。つまり、贈与によって取得した土地等には一切適用されません。

結果、「生前贈与ではなく、相続でもらえば、高い税金を支払わなくて済んだのに」という事態が発生する可能性があります。

暦年課税の贈与の場合は、相続開始前3年より前の贈与については、相続税の計算に持ち戻さなくていもよいですが、それでも、贈与時に相当額の贈与税を支払う必要があります。

また、相続により取得した場合と比べて、贈与により取得した場合には登録免許税等につき高い税率が適用されます。

 

②については、生前に贈与を受けた財産を、相続税の計算に持ち戻す必要がある場合、その持ち戻すべき価額(金額)は贈与時の価額、というルールがネックになります。

建物の相続税評価額(時価)は、固定資産税評価額によります。通常、建物については、年々価値が減少していき(減価償却)、3年に一度の固定資産評価替えの際、ある程度までは評価替えの度に評価が下がっていきます。もし、その建物の贈与のを受けた時点での価値が1,000万円、その後評価替えが進み、相続発生時点のその贈与を受けた建物の固定資産税評価額が800万円に下がっていたとしても、相続税の計算に持ち戻す金額は贈与を受けた時点の価値の1,000万円としなければなりません。これを相続により取得する場合は、もちろん相続時の時価の800万円で計算することになります。

ただし、賃貸用建物については、その収益を親から子に移転させることができ、つまり、親の資産増加を抑制することができるというメリットがありますので、ここにいう「建物」には含めません。

いろいろなお考えがあるかと思いますが、生前贈与をご検討される場合、贈与すべき財産としては、

 

◇ 今後値上がりが見込まれる、居住用・事業用以外の土地等                                           ◇ 今後値上がりが見込まれる上場株式等                                                       ◇ 現金預貯金

 

を一番に考えられるとよいでしょう。

 

実際に贈与してしまってからでは取り返しのつかない事態も起こり得ます。生前贈与による相続対策をご検討の方は、事前に相続相談サポートセンターおかざきまでご相談ください。

 

 

Q18.

 とてもかわいがっている愛犬がいます。私に万が一のことがあった場合、この愛犬にも何か遺してあげたいのですが、可能ですか?

A18.

ペットも今や家族の一員のような存在、自分が万が一先に逝ってしまった場合、ご相談のようなお気持ちになられる方も多いでしょう。ただ、残念ながら、ペットには相続権はありません。税法上、ペットはモノとして扱われます。したがって、たとえ遺言にて遺産の取得を指定したとしても無効となってしまいます。

しかし、遺産をあげることはできませんが、たとえば「わたくしが死んだら、○○さんに愛犬の世話をお願いしたい」等の記載を遺言にすることは構いません。

 

 

Q19.

 亡くなった母親が商売をしていました。私がその商売を引き継ごうと思うのすが、どのような手続きが必要ですか?

A19.

個人でご商売をなさっていた方が亡くなった場合、主に以下の手続きが必要です。

① 亡くなった日の翌日から4か月以内に、その年1月1日から亡くなった日までの、亡くなった方の分の所得税申告

=これを「準確定申告」と言い、その申告および納税は(代表)相続人が行います

② 亡くなられた方の「個人事業の廃業届」をすみやかに税務署に提出する

③ 故人の事業用資産の引き継ぎ                                                                  =事業用預貯金、売掛金や減価償却資産等は相続財産として相続税の対象となります

 

また、事業を引き継がれる方は、個人事業の開業届を税務署に提出します。

必要に応じて青色申告承認申請書等も提出します(事業を引き継いだ方が、すでに別の事業を白色申告にて確定申告をしている場合には、引き継いだ事業について青色申告が認められる年が、1年分以上遅れることとなります)。

 

なお、故人が消費税の課税事業者であった場合、生存中の事業引き継ぎと異なり、基準期間の課税売上高もそのまま引き継がれますので注意が必要です。

 

その故人の相続税申告期限までにその故人の事業を引き継ぎ、引き続きその商売を継続し、その相続人がその事業所の底地を相続した場合には、一定の要件のもと、その底地について特定事業用宅地等として小規模宅地等の特例の適用があります。

 

 

 

 Q20.

 配偶者にとって相続が有利になる、と聞きましたが?

A20.

はい、今回40年ぶりに民法における相続制度が見直され、その1つに「配偶者居住権」の新設が挙げられます。

配偶者居住権とは、配偶者が相続開始時に居住していたその相続の被相続人が所有する建物を対象として、終身または一定の期間、その被相続人の配偶者にその建物の使用を認めるものです。

 

具体的な評価の方法も定められており、その建物の敷地についても利用の権利が認められます。

 

この「配偶者居住権」は、令和2年4月1日以降開始の相続より適用されます。

 

なお、配偶者居住権はその権利を有する配偶者の死亡により消滅するものとされ、その配偶者居住権の消滅により増加することとなる対象建物の増加評価額相当分には課税されないこととなる見込みです。

 

なお、この民法改正に伴い、上記「配偶者居住権の創設」以外にも「特別寄与制度」など、相続に係るルールがいくつか新設、変更されています。

詳細等お聞きになりたい方は、相続相談サポートセンターおかざき までお気軽にお問い合わせください。

 

 

Q21.

遺産分割協議が整わなくても、故人の預金が引き出せるようになると聞きましたが?

A21.

はい。これまでは、預貯金債権が遺産分割の対象財産に含まれているため、その分割協議が整うまでは原則として被相続人名義の預貯金を、葬式費用や未払い入院費用の支払い等に充てるためであっても引き出すことができませんでした。

これにより生じる様々な不都合を無くすため、家庭裁判所の手続きを経ればその預貯金債権の全部または一部を引き出すことができるようになり、また、家庭裁判所の判断を経なくても、

 

預金債権額 × 1/3 × その者の法定相続分 または 150万円

 

のいずれか低い方(=上限は150万円となる)の額をその被相続人の各相続人が「単独で」引き出せるようになりました。

 

 

 

 

 

相続相談サポートセンターおかざきでは、随時お電話によるご相談もお受けいたしておりますが、その際、ご相談者が同業者等であることが判明した場合は、その時点でご相談を中止させていただきます。

また、相続税申告をご依頼される際、相見積り用に報酬を事前提示することは一切いたしません。

あらかじめご了承ください。

 

 

 

 

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